むくみと静脈瘤

むくみとは?
どうしてむくむのか?
・足のむくみは組織の中に過剰な水分や老廃物が貯留することで起こります。むくんでいるということはそれらの排出が上手にできないということです。排出に関わっている静脈やリンパ系の不具合が、細胞にとって必要な酸素や栄養分の吸収を困難にします。
・静脈の機能不全によるむくみについては下肢静脈瘤などの可能性があり、リンパ系の機能不全によるむくみは「リンパ浮腫」と呼ばれていますが、むくみはそれ以外にも原因が多彩です。

静脈によるむくみ
・下肢静脈瘤や深部静脈血栓症、血栓後遺症は血管の循環障害を起こす慢性静脈不全症(CVI)によるものです。
・症状は足のむくみから始まることがほとんどです
薬によるむくみ
・薬の副作用によってむくみが生じることがあります。
・風邪薬、胃腸薬などに含まれているグリチルリチンという成分がむくみを招きます。グリチルリチンは甘草という食物の根に多く含まれる成分で漢方薬にも配合されています。グリチルリチンはナトリウムが尿に排出されるのを抑えるため、水分量が増えむくみを引き起こします。偽性アルドステロン症とも言われたりします。
腎疾患によるむくみ
尿中にタンパク質が大量に排出されて、水分や塩分が過剰に体内に蓄積してしまう症状をネフローゼ症候群と言います。
腎疾患のみならず、糖尿病や膠原病、リンパ腫や薬剤の長期使用によって引き起こされることもあり尿量が極端に少なくなってきた場合は注意が必要です。
心疾患によるむくみ
・心臓の機能が低下してしまうと心不全の状態となり、十分な血液量を体の末梢部位まで送ることができなくなります。症状が進行するにつれて静脈に血液が鬱滞するようになるため、血管内の圧力が高まり、周囲に組織間液として漏れ出るためむくみとなります。肺にも影響し息切れをおこしやすくなります。
肝臓疾患によるむくみ
・肝臓で作られるアルブミンというタンパク質が肝硬変や肝炎などによって産生されなくなると、血中のアルブミン量が低下するため、組織間液が増加するためむくみとなって現れます。アルブミンは腎臓の機能障害によって尿中に過剰に排出されてしまうことがあり、注意が必要です。
動かないことによるむくみ
・足の静脈内の圧力が上昇し、静脈中の血液を血管の外に押し出そうとする力がかかります。結果起きるのがむくみです。
・ふくらはぎの筋肉が「静脈ポンプ」となり、足に溜まった静脈血を心臓へと戻しているのですが、テレビを見ながら座ったままで歩かずに同じ姿勢をとり続けている場合には静脈ポンプが働かず、筋肉も萎縮してしまうため足がむくむのです。
脂肪によるむくみ
・脂肪性浮腫(Lipedema)と呼ばれ、浮腫肥大化脂肪が病的に身体や手足に増大しむくんでしまっていることを言うので、正確には浮腫ではありません。脂肪性浮腫は水ではなく、脂肪が溜まって浮腫の時のような状態になっていることを指します。
・足がむくむときは足首から先の足の甲もむくみますが、脂肪性浮腫の場合では足首から先はむくみません。脂肪性浮腫の場合は浮腫と比較すると硬く、指で押しても僅かにしか凹みません。
・放置すると組織間液の流れが悪化し、同時にアルブミンや酸素などの補給も滞った状態では体温が徐々に奪われます。
・そのため脂肪細胞周囲に鬱滞した組織間液が浸かっているような状態となり組織間液が慢性的に鬱滞している状態が続くと、脂肪細胞がそれらを吸収し、浮腫肥大化した脂肪細胞となってしまうため、押しても凹まないむくみへと変化してしまうのです。そのため、ダイエットやマッサージなどをしても減量することはできなくなってしまいます。
細胞
引用)Lymph makes you fat. Reprinted by permission from Nature Genetics, October, 2005 (Schneider et al, 2005)
ネイチャー誌に掲載されたシュナイダーらの論文ではリンパ液が脂肪細胞を浮腫肥大化させると発表しています。
・一時的なむくみは慢性化すると脂肪細胞を浮腫肥大化させてしまいます。浮腫肥大化した脂肪細胞は周囲の血流を低下させ、線維化を起こします。線維化によってリンパ管や毛細血管を変性させてしまうため、流れを阻害し、より血流障害や代謝の低下を招きます。
・当院では炭酸ガス注入療法や脂肪浮腫減量手術による独自の治療を行っています。
リンパ浮腫によるむくみ
・乳がん、子宮がん、卵巣がん、前立腺がん、皮膚がんなどの治療による後遺症の一つで、手術や放射線によってリンパの流れが停滞し、生涯にわたり腕や脚がむくむことをリンパ浮腫といいます。
発症時期には個人差があり、手術直後から発症することもあれば10年以上経過してから発症することもあります。
当院では炭酸ガス注入療法やリンパ浮腫減量手術など独自の治療を行っています。
むくみの検査方法
問診
むくみのきっかけや、時期、期間、どのように変化し加療してきたかを調べます。
視診
診察は診察室に入ってくる時から始まっています。その方の歩き方からむくみを助長 するような歩き方をしていないか、杖をついていないか、車椅子の有無を注視します。さらに靴下を脱いでもらい、足の裏まで診ることでどのような歩き方をしているかを診察します。
触診
むくみが組織間液主体なのか、肥大化した脂肪細胞によるむくみなのか、痛みを伴うむくみなのか、皮膚が肥厚または菲薄化しているのかを診ていきます。
カラードプラー超音波検査
静脈瘤の有無から始まり、むくみが皮下か脂肪層か筋肉内なのか、その分布やむくみ が水分主体なのか脂肪化しているのか内容物についても精査します。
サーモグラフィーによる体表温度測定
温度を可視化することで具体的に温度の低い部位がむくみを起こしていること を客観的に評価することが可能です。
採血
内科疾患やホルモン、薬剤などの影響によるむくみの可能性を評価します。
むくみの治療法
・炭酸ガス注入療法:炭酸ガスを血流低下部位に直接注入することで血流改善させ浮腫を減少させます。
・弾性ストッキングによる圧迫療法:静脈瘤治療専用からリンパ浮腫用のストッキングを応用して選択着用し、浮腫を早期に改善します。
・弾弾性包帯による集中排液治療:むくみが重度の場合は短期集中治療を行います。
・リンパドレナージ:リンパ浮腫治療で用いられている医療用のリンパドレナージを応用した方法です。
・内服加療:アンチスタックス、タカベンス
・浮腫減量手術:浮腫肥大化した脂肪細胞を減量します。
・血管内カテーテル治療:むくみの原因となる静脈瘤を血管内に挿入したラジオ波により治療します。

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