進行度別治療法

むくみと静脈瘤

むくみとは?
どうしてむくむのか?
・足のむくみは組織の中に過剰な水分や老廃物が貯留することで起こります。むくんでいるということはそれらの排出が上手にできないということです。排出に関わっている静脈やリンパ系の不具合が、細胞にとって必要な酸素や栄養分の吸収を困難にします。
・静脈の機能不全によるむくみについては下肢静脈瘤などの可能性があり、リンパ系の機能不全によるむくみは「リンパ浮腫」と呼ばれていますが、むくみはそれ以外にも原因が多彩です。

どうしてだるく重くなるのか?

長時間の立ち仕事をしている方など、慣れているつもりでも疲労が蓄積していることもあります。
ふくらはぎの筋肉がこわばって硬くなっている状態です。

朝よりも、夕方から夜になるほど足がだるくなり、むくんでくる慢性的な症状がある場合には、
単なる疲労からくるだるさではないかもしれません。

血液の循環に異常が生じて血流が滞ってしまう下肢静脈瘤かもしれません。
ふくらはぎの筋肉がポンプとなって血液を心臓へと押し上げます。
ふくらはぎが“第二の心臓”といわれる所以です。

また、血流が戻って行かないように足の静脈には逆流防止の静脈弁が付いています。
疲労がたまって筋肉が硬くこわばると、血流ポンプの役割を十分に果たすことができなくなります。

また、立ち仕事などが続くと、重力に逆らって心臓へ昇っていく足の血流は影響を受けやすく、
そのため老廃物が足に蓄積して足にだるさを感じるようになります。


診察をして超音波で血液の逆流がなければ、静脈瘤ではないので手術などは必要ありません。
外来でよくお話するのは3つのことです。

① 圧迫して歩く
静脈瘤専用の弾性ストッキングを履きましょう。足を計測してぴったりのものをお渡しします。
② 座らない
家でだらだらとテレビをみて甘いものを口にしない。座ってばかりいない。
③ 運動する
できるだけ車を使わない。電車や自転車、バスを使う。

具体的な指導については診察の際に詳しくお話しします。
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どうしてこむら返り(足がつる)のか?

こむら返りは、ふくらはぎだけではなく、足の指や太ももにも起こることがあります。
「こむら返り」は足の筋肉のけいれんで、下肢静脈瘤の症状のひとつです。

健康な人でも起こることがあるので、足がつっても、それが静脈瘤の症状だと思わない方が多いです。
下肢静脈瘤によるこむら返りは、明け方、布団の中で起こることが特徴で、静脈瘤がまだ軽症のときに起こりやすく、
症状が進行すると次第に起こらなくなります。

基本的に静脈瘤があるほうの足だけに起こり、両方の足がつったり、
しびれがある場合は下肢静脈瘤以外の原因も考えられます。


こむら返りを治療する際に重要なのは

① 寝る前に水を飲む 
トイレを気にして自然と水を飲まない傾向にあります。
寝る直前にコップ一杯の水を飲んだところで夜間のトイレが増えることはありません。
② 漢方薬を寝る前に飲む 
薬の飲み方や、飲む回数などいくつかのポイントがあります。口の中に直接薬を入れて水で流し込んでもあまり効きません。
③ 下肢静脈瘤の治療をする 
カテーテルでの治療もしくは注射での治療でこむら返りがほぼなくなります。
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寒くなってくるとこむら返りで目が覚めてしまい、寝不足になり夜がくるのがつらいとおっしゃる方が多く来院されます。
原因を探ることが大事なのですが、ただ症状を医者が聞いて、薬を出されるけども効かないで困っていることが多いので、
超音波での診察が重要になります。一度相談にいらしてください。
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静脈によるむくみ

・下肢静脈瘤や深部静脈血栓症、血栓後遺症は血管の循環障害を起こす慢性静脈不全症(CVI)によるものです。
・症状は足のむくみから始まることがほとんどです 


静脈によるむくみの治療法

深部静脈血栓症によるむくみは緊急性を要するので、入院治療のできる大きな病院をすぐに紹介しています。
超音波での診察ですぐにわかります。それ以外のむくみに緊急性はありませんので、クリニックでの治療が可能です。

① 弾性ストッキングによる圧迫
むくみの治療にはなりますが、静脈瘤が隠れている場合があり、
ストッキングによってむくみがとれると血管がボコボコしているのが目立つようになります。
その場合はカテーテルでの治療が必要です。
② ダイエット
足の付け根(股のあたり)にお腹のお肉がのっている姿勢(前屈みで座っている)は静脈を圧迫するため、
血液の流れを自分で悪くしています。できるだけ座ることをせずに、お腹の肉を減らす運動を指導します。
③ カテーテル治療
カテーテル治療によって血液の流れがよくなり、むくみが術後から消えていきます。
弾性ストッキングも術後から履いてもらうので相乗効果によって短期間でむくみがよくなります。
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薬によるむくみ

・薬の副作用によってむくみが生じることがあります。
・風邪薬、胃腸薬などに含まれているグリチルリチンという成分がむくみを招きます。

グリチルリチンは甘草という食物の根に多く含まれる成分で漢方薬にも配合されています。
グリチルリチンはナトリウムが尿に排出されるのを抑えるため、水分量が増えむくみを引き起こします。
偽性アルドステロン症とも言われたりします。
 


薬によるむくみの治療法

薬を整理して、できる限り減らすことです。
しかし、自分の判断で勝手に減らすことはやめてください。
どの薬が大事で、どの薬がむくみを起こしている可能性があるかをお薬手帳を見ながら説明します。

飲んでいる薬が原因となっていることも多いので、むくみを起こしにくい薬に代えてもらうようにお手紙を担当の医師に書くこともよくあります。

患者さんから自分でかかりつけの先生に薬を代えてほしいとはなかなか言いづらいと思うので、
そういう時に紹介状を書いて持って行ってもらっています。

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腎疾患によるむくみ

尿中にタンパク質が大量に排出されて、水分や塩分が過剰に体内に蓄積してしまう症状をネフローゼ症候群と言います。
腎疾患のみならず、糖尿病や膠原病、リンパ腫によって引き起こされることもあり尿量が極端に少なくなってきた場合は注意が必要です。
 


腎疾患によるむくみの治療法

腎臓の病気や糖尿病などの原因となる病気の治療はかかりつけの医師や専門医の指示に従ってください。
内服薬や食事の内容などを細かく言われると思います。

弾性ストッキング
むくみ自体は柔らかい水っぽいむくみのことが多いため、弾性ストッキングでの治療が効果的です。
しかし、市販のストッキングではサイズが小さかったり糸が細いものは食い込みやすく、
かえってむくみを悪化させてしまうことがあるのでストッキング選びは慎重に行っています。

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心疾患によるむくみ

心臓の機能が低下してしまうと心不全の状態となり、十分な血液量を体の末梢部位まで送ることができなくなります。
症状が進行するにつれて静脈に血液が鬱滞するようになるため、
血管内の圧力が高まり、周囲に組織間液として漏れ出るためむくみとなります。
肺にも影響し息切れをおこしやすくなります。
 


心疾患によるむくみの治療法

心臓が弱っている場合は弾性ストッキングを履くことで、肺に水がたまってしまったり、
心臓に負荷がかかってしまったりすることもあるため、慎重に行う必要があります。
履いてはいけない場合も多いのですが、そのままではむくみがどんどん悪くなってしまいます。
そのため、着用する際にはいくつか注意事項があるのできちんと説明し、納得していただいたうえで治療をします。

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肝臓疾患によるむくみ

肝臓で作られるアルブミンというタンパク質が肝硬変や肝炎などによって産生されなくなると、
血中のアルブミン量が低下するため、組織間液が増加するためむくみとなって現れます。
アルブミンは腎臓の機能障害によって尿中に過剰に排出されてしまうことがあり、注意が必要です。
 


肝臓疾患によるむくみの治療法

食事の見直しを行い、弾性ストッキングによる圧迫を行います。
むくみは柔らかいことが多いのですが、皮膚が硬くなり、茶色く変色している場合があるのでスキンケアを同時に指導します イメージ

動かないことによるむくみ

・足の静脈内の圧力が上昇し、静脈中の血液を血管の外に押し出そうとする力がかかります。結果起きるのがむくみです。
・ふくらはぎの筋肉が「静脈ポンプ」となり、足に溜まった静脈血を心臓へと戻しているのですが、

テレビを見ながら座ったままで歩かずに同じ姿勢をとり続けている場合には静脈ポンプが働かず、筋肉も萎縮してしまうため足がむくむのです。


動かないことによるむくみの治療法

動いてくださいと言っても患者さんは動いてくれません。どのような生活習慣を送っているのか聞き、
できることから一緒に変えていく努力をします。歩くことがどうして大事なのか、弾性ストッキングがどうして必要なのか、
動かないことでむくみが悪化するとどうなってしまうのかを聞いてもらいながら少しでも良くなる方法を探っていきます。

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脂肪によるむくみ

・脂肪性浮腫(Lipedema)と呼ばれ、むくんで肥大化した脂肪が病的に手足に増大してまっている状態です。
脂肪性浮腫は水ではなく、脂肪が溜まって浮腫の時のような状態になっていることを指します。

・足がむくむときは足首から先の足の甲もむくみますが、脂肪性浮腫の場合では足首から先はむくみません。
脂肪性浮腫の場合は浮腫と比較すると硬く、指で押しても僅かにしか凹みません。

・放置すると組織の間の液の流れが悪化し、同時にアルブミンや酸素などの補給も滞った状態では体温が徐々に奪われます。

・そのため脂肪細胞周囲に鬱滞した組織間液が浸かっているような状態となり組織間液が慢性的に鬱滞している状態が続くと、
脂肪細胞がそれらを吸収し、浮腫肥大化した脂肪細胞となってしまうため、押しても凹まないむくみへと変化してしまうのです。
そのため、ダイエットやマッサージなどをしても減量することはできなくなってしまいます。

脂肪によるむくみの治療法

足についた脂肪を減らすことはとても難しく、まず血流を増やさなければなりません。
その際に下肢静脈瘤があると血液が逆流してしまうので、血流が悪くなってしまい、むくみが脂肪に変わってしまうため、
下肢静脈瘤の治療が必要な場合があります。

炭酸ガスを注入する方法でも脂肪の血流を改善することができるので、
自費治療にはなりますが6〜8回ほど繰り返して治療することで脂肪の血流が改善し、硬かった脂肪が柔らかくなり、脂肪の大きさも小さくなっていきます。

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リンパ浮腫によるむくみ

・乳がん、子宮がん、卵巣がん、前立腺がん、皮膚がんなどの治療による後遺症の一つで、
手術や放射線によってリンパの流れが停滞し、生涯にわたり腕や脚がむくむことをリンパ浮腫といいます。

発症時期には個人差があり、手術直後から発症することもあれば10年以上経過してから発症することもあります。
当院では炭酸ガス注入療法やリンパ浮腫減量手術など独自の治療を行っています。

リンパ浮腫の治療法

① リンパ浮腫用の弾性ストッキング
専門の資格を持った医師がストッキングを選びます。今までに見たことのないようなストッキングなので、患者さんは驚くことが多いです。
しかし、気持ちが折れないように履き方の指導を細かく丁寧に時間を割いて行います。

② リンパドレナージ
リンパマッサージと同じように思われることが多いのですが、全く違います。正しいリンパドレナージのやり方を指導します。

③ 弾性包帯による圧迫
むくみが強い場合はストッキングで食い込んでしまうことがあるため、包帯による圧迫が必要なことがあります。
包帯でむくみを改善してからストッキングに移行することがほとんどですので、包帯をずっと巻かなければいけない訳ではありません。

④ 炭酸ガス注入療法
リンパ浮腫ではむくんだ脂肪が硬くなってしまい、周囲に膜のような線維ができています。
これらは血流が改善されるとむくみは柔らかくなり、サイズが小さくなるきっかけになります。
2〜3週間に1度の通院で6〜8回ほどで効果が出てきます。
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⑤ リンパ浮腫減量手術
脂肪吸引の技術を応用した手術です。日本ではこの手術ができる医師はほんの数名です。
ほとんどは大学病院で入院し、全身麻酔で行なっていますが、日帰り局所麻酔で行っているのは当院のみです。
この手術はきちんとストッキングで圧迫ができる自己管理がしっかりした方しか行うことができません。
術後も圧迫が必要となり、不十分な圧迫だと再発することもあります。必ずしも完璧な手術ではありませんが、有効な治療法の一つです。
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むくみの検査方法
問診
むくみのきっかけや、時期、期間、どのように変化し加療してきたかを調べます。
視診
診察は診察室に入ってくる時から始まっています。その方の歩き方からむくみを助長 するような歩き方をしていないか、杖をついていないか、車椅子の有無を注視します。さらに靴下を脱いでもらい、足の裏まで診ることでどのような歩き方をしているかを診察します。
触診
むくみが組織間液主体なのか、肥大化した脂肪細胞によるむくみなのか、痛みを伴うむくみなのか、皮膚が肥厚または菲薄化しているのかを診ていきます。
カラードプラー超音波検査
静脈瘤の有無から始まり、むくみが皮下か脂肪層か筋肉内なのか、その分布やむくみ が水分主体なのか脂肪化しているのか内容物についても精査します。
サーモグラフィーによる体表温度測定
温度を可視化することで具体的に温度の低い部位がむくみを起こしていること を客観的に評価することが可能です。
採血
内科疾患やホルモン、薬剤などの影響によるむくみの可能性を評価します。
むくみの治療法
・炭酸ガス注入療法:炭酸ガスを血流低下部位に直接注入することで血流改善させ浮腫を減少させます。
・弾性ストッキングによる圧迫療法:静脈瘤治療専用からリンパ浮腫用のストッキングを応用して選択着用し、浮腫を早期に改善します。
・弾弾性包帯による集中排液治療:むくみが重度の場合は短期集中治療を行います。
・リンパドレナージ:リンパ浮腫治療で用いられている医療用のリンパドレナージを応用した方法です。
・内服加療:アンチスタックス、タカベンス
・浮腫減量手術:浮腫肥大化した脂肪細胞を減量します。
・血管内カテーテル治療:むくみの原因となる静脈瘤を血管内に挿入したラジオ波により治療します。

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